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株式会社る〜くほ〜む【図書部】
株式会社る〜くほ〜むが提供する無料メールマガジン『週刊クオリティ』のバックナンバーを随時掲載! そして、同社が排出したヒーロー『オタック戦隊萌エルンジャー』の小説も全文掲載!
■ FLASH☆STAR 番外編
        傍らに咲く花に… 
聖音亞零
午後―――
朗読の決勝はもう、始まっているだろうか―――?
俺は、まだ、体育館に居た。
本当は決勝戦も見に行きたかったが鬼―――いやいや。亀山女史に引き止められた
『あんたは朗読の決勝終わったらスグに発表でしょ!』
そう。朗読の決勝会場で決勝終了後に間髪入れず1発目。俺の出番だった。
犬ならしっぽを垂らしているだろう。そんな小野寺を見送って、亀山とひたすら打ち合わせをしていた。
「―――大体、ココで6分あればいいよ」
「厳しいなぁ。そのペースで余りは?」
「15秒前後。いいんじゃない?」
「ま。無難か…」
大体、前日にはやっておかなくてはならない時間切りを会場でするコト自体変な話だ
昨日、やっとけば良かったと後悔しながら時計を見る
「なあ。そろそろ行かね? 大体の準備終わったし。決勝もそろそろ後半だろ」
「遅刻したら失格だし……いいよ。ボチボチ行こ。……っと。私、何か飲み物買ってから行くから」
亀山がスカートを払いながら立ち上がる
「了解。先行っとく」
コンピュータバックと原稿を持って、下足に履き替え、すこし早足で体育館を出た。
正直、小野寺の朗読を聞けるかもしれないと期待していた。

少し離れた2階建ての建物。
人影は未だ疎ら。朗読の決勝は終わっていないらしい。
また少し。歩を早める。
渡り廊下のような部分で靴を脱いで、会場を窺おうとしたその時。丁度会場の戸が開いて小野寺が1人。出てきた。
遅かったらしい。
「小野寺」
「…あ……先輩…」
少し虚ろ。予選の終わりも何か疲れきっていたけど。今回は加えて、顔色が悪い。
「おい。体調でも悪いんか?」
「いえ。大丈夫です…。」
「そういう台詞はもうチョイ元気な奴が言うことだろーが?」
そう言いながら俯き気味の小野寺の顔を覗き込む
「……噛みました。」
ボソリと、小野寺が呟く
「ん?」
「台詞。何時も噛まない所で噛んじゃったんです!!」
小野寺が悔しそうに。今まで溜めてたものを一気に吐き出すように。朗読原稿で俺の腕を叩き続ける。
「何時もなら、あんなところで…うんん。普通なら。アレは噛む所じゃないのに!」
バシバシと。原稿がよれても叩き続ける。叩いて。叩いて。叩きながら言葉をぶちまける。
「もう。今度こそ。今度こそダメですっ…」
小野寺は俺の腕を叩くのをやめて、俯く。
「……お前の読みは、出来たんだろ?」
小野寺は小さく頷く
「なら、お前はやることやったんだ。胸張れよ。今悔いてもどうにもならない。…ほら、もしかしたら審査員も聞き逃したかもしれないだろ?」
無茶言ってるのは分かってる。
だけど、俺はそんなコトしか言えなかった。
頭悪いことを言っているのは、自分が1番、分かっていた。
「……先輩って、やっぱり、バカなんですね…。」
「バカは無いだろ」
「んーん。…バカです。自分の発表も間近なのに。彼女でも何でも無い後輩を必死になって励まそうとしてる。」
「悪いか?」
「いいえ? でも、そういう必死さは、本命の人にだけ。見せてあげて下さいよ。」
笑っているような。怒っているような。でも、相変わらず疲れているような。微妙な表情を浮かべたまま、中庭の布石を踏みに行く
「先輩は、美雪先輩にだけ、その優しさを見せてれば、良いんです。」
布石を一個、一個踏むたびに言葉を切っていく
「私は、また来年も、あるんですから。」
「話が繋がってねえ。」
「いいんです。独り言ですから。ほら、そろそろ決勝も終わりますよ」
少し離れた距離で。まるで遠くから、話しかける様に小野寺は言った。

俺は、何かしたのだろうか―――――?
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